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池之上 翼; 川村 英之; 上平 雄基
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(1), p.61 - 71, 2023/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所から仮想的に放出された溶存放射性核種の海洋拡散について、長期海洋再解析データを用いて数値シミュレーションを実施した。シミュレーション結果に基づいて統計的に解析を行い、海洋における溶存放射性核種の挙動の特徴と傾向を評価した。福島沿岸海域の放出地点における表層流の南北成分と黒潮続流は、それぞれ福島沿岸海域の表層における放射性核種の南北方向の輸送と沖合の表層における放射性核種の東方向の輸送に大きく影響した。沿岸から沖合にかけての表層における運動エネルギーが大きいと表層における放射性核種の拡散範囲が大きくなる傾向があった。夏季(7-9月)には、福島沿岸海域での表層における放射性核種の南向き輸送によって黒潮続流に取り込まれる放射性核種の頻度の増加と表層における運動エネルギーが大きいことにより、表層における放射性核種の拡散範囲が大きくなった。冬季(1-3月)には、福島沿岸海域での表層における放射性核種の北向き輸送によって黒潮続流に取り込まれる放射性核種の頻度の減少と表面運動エネルギーが小さいことにより、表層における放射性核種の拡散範囲が小さくなった。
Periez, R.*; Bezhenar, R.*; Brovchenko, I.*; Jung, K. T.*; 上平 雄基; Kim, K. O.*; 小林 卓也; Liptak, L.*; Maderich, V.*; Min, B. I.*; et al.
Journal of Environmental Radioactivity, 198, p.50 - 63, 2019/03
被引用回数:21 パーセンタイル:66.33(Environmental Sciences)北西太平洋海域における福島第一原子力発電所事故起源のCs放出に対して、複数の海洋拡散モデルを適用し、モデル対モデル及びモデル対観測の比較を実施した。シミュレーション期間は2年間とし、施設から海洋への直接放出と大気から海洋表層への沈着過程を考慮した。海洋拡散モデルには生物モデルが導入されている。シミュレーション結果は海水中,堆積物中,海産生物中のCs濃度で比較した。その結果、モデル対モデル及びモデル対観測の比較において、妥当な結果が得られた。
乙坂 重嘉; 小林 卓也; 町田 昌彦
日本原子力学会誌ATOMO, 59(11), p.659 - 663, 2017/11
福島の環境回復に関してまとめた連載記事の一つである。福島第一原子力発電所事故によって環境に放出された放射性セシウムの約7割は海洋に運ばれたと見積もられている。政府等によるモニタリング調査に加えて、国内外の多くの機関の調査研究によって、放射性セシウムの海洋における分布や動態が浮き彫りとなってきた。時間的・空間的に連続した観測データを得ることが困難な海洋においては、数値シミュレーションが積極的に活用され、事故後に新たに得られた知見を踏まえ、さらなる改良が進められている。本論文では、福島の沿岸域におけるセシウムの動きと存在量について俯瞰し、環境回復の現状の科学的な理解を深めるとともに、今後取り組むべき課題について解説している。
今里 哲久*
PNC TJ1604 95-002, 32 Pages, 1995/03
1.調査概要1-1.研究目的1-2.研究範囲2.広域海洋の流動評価方法に関する追加調査2-1.流動場の評価方法に関する知見2-2.日本沿岸海域の水塊水粒子群の行方に関する知見2-3.日本海の流動場に関する従来の知見3.広域海洋の流動場の季節変化3-1.100m層の流動場の季節変動3-2.25m層の流動場の季節変動4.診断モデルによる日本海の海洋循環--年平均流速場--4-1.はじめに4-2.数値モデル4-3.客観解析による格子点データの作成4-4.年平均流速場4-5.おわりに引用文献
今里 哲久*
PNC TJ1604 94-001, 24 Pages, 1994/03
本調査の目的は、海洋での広域拡散に関する計算コードの整備を行う一環として、広域拡散の要となる広域海洋の中層及び深層を含む海洋の流動評価について調査、整備を行うことにある。上記目的達成のために以下の調査を実施し、計算コードの整備を行った。(1)広域海洋の流動評価方法に関する追加調査・年平均流動場における太平洋中層水の挙動に関する知見の調査を行った。また、海峡の表層・中層・深層中に存在する表層水・中層水・深層水の構成比率の時間変化に関する事項、T-S図の上で定義した水塊起源とその行方に関する事項について調査を行った。さらに、広域海洋流動場の季節変化に関連する知見の調査を行った。これらの知見や調査の整備を行い、そのとりまとめを行った。(2)広域海洋拡散コードに組み込める広域海洋の流動評価コードの調査及び整備・季節条件を加味した広域海洋拡散コードに組み込める広域海洋の流動評価コードに関する事項並びに用いる流動評価方法及びその算出過程に関する事項の調査及び整備、広域海洋の流動評価コードにより算出される流れの場に関する事項及び流れの場の特徴に関する事項の調査及び整理、計算上の問題点及び今後の課題に関する事項の調査及び整理を行い、その取りまとめを行なった。
not registered
PNC TJ1433 92-001, 117 Pages, 1992/01
本研究の目的は、集団線量の評価手段の整備の一環として、海洋環境での広域拡散に関する計算コードの開発を行うことにある。このため、本年度は上記目的構成のために以下の調査を実施した。(1)集団線量当量評価に係るパラメータ等の調査海産食品の生産、流通、摂取に関する資料の調査及びその整理、現状及び将来の人口、人口構成、人口分布に関する知見の調査及び資料の整理、放射性物質の分布と外部被ばくによる線量当量換算係数及び内部被ばくによる線量当量換算係数に関する知見の調査及び線量当量の年令依存に関する知見の調査及びその資料の整理を行った。(2)広域拡散コード及び集団線量当量コードの整備広域海洋拡散コード(核種拡散ボックスモデル)、集団線量当量モデルの作成を行った。
石川 裕彦
原子力工業, 38(3), p.43 - 48, 1992/00
本稿は「原子力工業」の依頼原稿である。原子力環境関連分野におけるスーパー・コンピュタの利用について、以下の計算モデルについて解説した。1)SPEEDI(緊急時環境線量情報予測システム)、2)局地気象予測モデル、3)海洋中拡散の計算シミュレーション、4)地層中の核種移行に関する計算シミュレーション。
蓮沼 啓一*
PNC TJ1433 91-001, 233 Pages, 1991/03
本研究の目的は、集団線量の評価手段の整備の一環として、海洋環境での広域拡散に関する計算コードの開発を行うことにある。このため、本年度は上記目的達成のために以下の調査を実施した。(1) 広域海洋拡散に関連する、地球規模の海洋構造、その他海洋データ関係の調査地球規模の海洋構造に関する知見の調査及びその整理、日本近海における海洋構造に関する知見の調査及びその整理、沿岸海洋拡散に関する知見の調査及びその整理、海洋構造に関する海洋データ、調査対象海域における漁獲対象海産物の生息及び漁獲の知見の調査及びその整理及び海洋における放射性物質の分布と挙動について調査取りまとめを行った。(2) 広域海洋拡散コードの開発広域海洋拡散モデル、海洋核種循環モデルの構築、線量計算コードの開発検討について調査取りまとめを行い、また広域海洋拡散に関するデータの収集を行った。
山田 政治; 福田 雅明
JAERI-M 9908, 13 Pages, 1982/01
筆者等は前に係留気球に吊し拡散実験の染料雲の形状を撮影する装置を開発した。この装置には、海風の場合と強風の場合には撮影が出来ない弱点を持つ。この様な風の条件の下でも撮影が出来るために、無線操縦模型飛行機を用いた観測法を開発した。模型飛行機は市販のものを用い、カメラを胴体に搭載するように改造し、無線操縦装置のうち1チャンネルを用いてカメラのシャッターを切るようにした。拡散実験の手順は係留気球の場合と同じである。観測は今年の冬から夏の間に行われ、その結果のいくつかの例を示す。
小林 卓也
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所の事故によって大気中に放出された放射性核種の多くは、東方へ輸送され海表面に沈着した。また、原子炉の冷却のために放水作業が行われたが、それらの一部は破損した施設から漏洩し、海洋へ流出した。国や自治体等による海域モニタリングや、多くの研究機関による海洋調査の結果、事故起因の放射性物質の拡散状況が少しずつ浮き彫りになってきた。本発表では、環境への放出量推定、海洋拡散モデルを用いた海水及び堆積物中放射性Csの分布の概況、堆積物モニタリングによる分布と経年変動について解説する。
川村 英之; 古野 朗子; 小林 卓也; 印 貞治*; 中山 智治*; 石川 洋一*; 宮澤 康正*; 碓氷 典久*
no journal, ,
本研究では、複数の海況データを入力データとして、海洋拡散モデルSEA-GEARN-FDMを使用し、福島第一原子力発電所から放出されたセシウム137の海洋拡散シミュレーションを実施した。セシウム137のソースタームとしては、WSPEEDI-IIを使用した大気拡散シミュレーションで計算された海表面沈着量と福島第一原子力発電所から海洋への直接放出量を考慮した。海洋拡散シミュレーションで計算された沿岸・沖合・外洋のセシウム137濃度は、観測されたセシウム137濃度を良好に再現した。福島第一原子力発電所から海洋へ直接放出されたセシウム137は、事故後の数か月間は沿岸に沿って南北方向に拡散し、黒潮や黒潮続流により沖合へ東向きに拡散されたことが示唆された。黒潮や黒潮続流が流れる海域では、これらに伴う中規模渦により、セシウム137が活発に希釈されたと考えられる。事故後の1年間における沿岸・沖合・外洋のセシウム137の海水中存在量を解析した結果、セシウム137が外洋へ活発に拡散されるとともに、表層から深層へ沈み込んだことが示唆された。
川村 英之; 小林 卓也; 上平 雄基
no journal, ,
本研究では、海流の予測データと再解析データを使用して、原子力機構で開発した緊急時海洋環境放射能評価システムSTEAMERの予測精度を検証した。日本周辺の北西太平洋を対象として、2015年から2017年までの各月初めから30日間、約10kmの水平解像度で海洋拡散シミュレーションを実行した。放射性核種の放出源として、福島第一原子力発電所からCsが30日間連続して海洋へ放出されると想定した。海流の再解析データは、過去の事後解析を行う上で最も精度が高いデータであるため、再解析データを使用したシミュレーション結果を真値と仮定して、予測データを使用したシミュレーション結果を検証した。福島第一原子力発電所から海洋へ放出されたCsは、北部で離岸した後は沖合の中規模渦に捕捉され、南部で離岸した後は黒潮続流に捕捉される傾向が強かった。海流の予測データを使用したシミュレーション結果は、予測から初期の期間は再解析データを使用したシミュレーション結果と同様であったが、時間の経過とともに両者の相違は顕著になった。この原因として、黒潮続流のような時間スケールが長い海象よりも、沿岸の時間変動が激しい海流の予測精度が影響していると考えられる。
池之上 翼; 川村 英之; 上平 雄基
no journal, ,
本研究では、原子力機構で開発した緊急時海洋環境放射能評価システム(STEAMER)で受信された過去の海流データを使用して海洋拡散シミュレーションを実行し、Csの海洋拡散の特徴や傾向について解析した。使用する海流データは、気象庁により計算された北西太平洋を対象とした水平解像度約10kmのデータである。東京電力福島第一原子力発電所からの仮想的な放出を対象として、2015年1月1日から2018年12月31日まで毎日9時を計算開始時刻として設定し、計算期間が60日の海洋拡散シミュレーションを計1461ケース実行した。全ケースの計算結果に対して、各計算格子における計算開始日から30日間で最大となる濃度(最大濃度分布)を算出し年平均と月平均を求めた。海洋表層においては、年変動はあまり見られなかったが季節変動は年変動より大きく、特に冬におけるCsの拡散範囲が小さい傾向がみられた。全計算ケースにおける最大濃度分布の平均は、福島沿岸から沖合(140E-145E)と黒潮続流付近で大きくなった。